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『住宅ローンが組める物件』とは

不動産を売却する際、多くの方が見落としがちな視点があります。
それが「その物件は買主にとって住宅ローンが組める物件なのか?」という点です。
一見すると「売却価格」や「立地条件」ばかりに注目しがちですが、実際には金融機関から住宅ローンを組めるかどうかが、売却の成否を大きく左右する重要な要素となります。
本コラムでは、不動産売却における「住宅ローンが組める物件かどうか」のチェックポイントや、注意すべき点について解説します。
住宅ローンが組めるかどうかで売却スピードが変わる?!
物件の購入者の大半は、住宅ローンを利用して購入資金を賄います。
つまり、その物件に対して金融機関が融資を認めなければ、購入希望者は現金一括で物件を購入するしかなくなります。
現金一括で物件を購入できる層は極めて限られているため、「住宅ローンが組めない物件」は購買層が極端に狭まり、結果として売却が難航する恐れがあります。
逆に言えば、「住宅ローンが組める」と金融機関が判断する物件であれば、より多くの買主候補が現れやすく、売却活動もスムーズに進みやすくなるということです。
では、具体的にどのような物件であれば住宅ローンを組めるのでしょうか。
金融機関は、主に以下のようなポイントで審査を行います。
1. 物件の築年数や構造
特に中古物件の場合、築年数が古すぎると住宅ローンの対象外になるケースがあります。
たとえば、木造住宅の場合、法定耐用年数は22年と定められているため、それを超えると担保価値が低いと見なされ、融資金額が減額されたり、最悪の場合は融資が受けられない可能性があります。
また、耐震基準を満たしていない建物(旧耐震基準の建物)も敬遠されがちです。
担保評価については、こちらのコラムにて詳しく解説しておりますので、よろしければ参考にしてみてください。
2. 再建築の可否
都市計画法や建築基準法の制限により、「再建築不可」の土地は大きなマイナスポイントになります。
たとえば、接道義務を満たしていない土地(建築基準法で定められた幅員4m以上の道路に2m以上接していないなど)は、再建築ができず、金融機関からの融資が受けられないことがあります。
3. 登記情報との整合性
登記簿上の情報と実際の建物や土地の状況に乖離があると、融資の障害になります。
たとえば、増築部分が未登記であったり、用途地域に適していない利用がなされていたりすると、金融機関は慎重になります。
4. 共有名義・借地権などの権利関係
借地権付きの物件や、共有名義の土地は権利関係が複雑なため、金融機関の審査が厳しくなります。
特に借地権は地主の承諾が必要であるなど、手続きが煩雑なため敬遠されやすい傾向があります。
売却をスムーズに進めるためには?
売却をスムーズに進めるためには、まず対象の物件が「住宅ローンが組める物件なのかどうか」を把握する必要があります。
具体的には以下の方法が挙げられます。
1. 事前に信頼できる不動産会社や金融機関に相談する
信頼できる不動産会社に相談し、自分の物件が住宅ローンの融資対象になるかを
確認しておくとよいでしょう。
また、事前に金融機関に物件の概要を伝え、融資の可否を軽く確認しておくのも一つの手です。
2. 登記簿の整合性を確認する
登記簿との不一致がないか、増築部分が正しく登記されているかなどを確認し、
必要に応じて登記の修正手続きを行っておくとよいでしょう。
3. 耐震基準や建築基準に適合しているかをチェックする
可能であれば、専門機関に依頼して建物の構造や基礎部分、
壁の強度などを詳細にチェックしてもらい、耐震性を評価してもらいます。
特に、旧耐震基準の物件で『耐震基準適合証明書』を取得したい場合に必要です。
その他『建築確認済証』や『住宅性能評価書』などの書類も有効です。
まとめ
「住宅ローンが組める物件かどうか」は、買主にとっての購入ハードルの高さを左右する、非常に重要な要素になります。
物件そのものの魅力だけでなく、買主の立場に立って、スムーズな資金調達が可能な物件であることをアピールすることが、不動産売却の成功のカギを握ると言っても過言ではないでしょう。
執筆者 家づくりカウンターゆめが丘ソラトス店 香川尚子